定義
平均処理時間(AHT)とは、顧客対応1件にかかる平均時間で、応答した瞬間から後処理の終了までを指します。通常は通話時間、保留時間、後処理時間を合計し、対応件数で割って求めます。
平均処理時間の仕組み
AHT = (通話時間 + 保留時間 + 後処理時間) ÷ 処理した通話数
通話時間は会話そのものです。保留時間は、担当者が何かを調べている間など、通話中に顧客が待つ時間です。後処理時間は、顧客が電話を切った後の作業です。保留や後処理のどちらかを含めないセンターもあるため、同じ名前の2つのレポートが異なるものを測っていることがあります。
結果は平均値ですが、通話時間は均等に分布していません。ごく少数の非常に長い通話が平均を押し上げ、大半の通話は平均をかなり下回ります。中央値や、通話時間が長い上位10%を見ると、平均が隠している実態がわかります。
処理時間は品質の指標ではありません。下げようとすると通話が短くなるだけでなく、同じ用件での再度の問い合わせも増えがちです。最初の対応で急いで済ませた問題が戻ってくるためです。コンタクトセンターが処理時間を単独ではなく初回解決率と並べて読むのはそのためです。
音声エージェントにとって重要な理由
音声エージェントは、式の中身を変えます。通話中に顧客記録へ書き込めるため、人間のような後処理はなく、3つ目の項はゼロに近づきます。人が処理する通話との公平な比較では、両側に同じ要素を含める必要があります。
最も重要なのは、途中で担当が替わる通話です。エージェントが2分対応したあと、引き継いだ担当者が6分かけるなら、その通話の処理時間は両方の合計です。AIのみ、人のみ、混在の通話は別のグループとして報告しないと、簡単な通話で成果を出すエージェントと、難しい通話でつまずくエージェントが平均の中で混ざってしまいます。
インセンティブの罠もあります。速くするよう指示されたエージェントは、急いで確認を飛ばすかもしれません。ツールの応答を待つこと、確認をゆっくり話すこと、番号を復唱することはどれも数秒かかりますが、その数秒が再度の問い合わせを防ぐ場合が多いのです。利用が分単位で課金される場合、処理時間は1通話あたりのコストに直接影響するため、追跡する価値はありますが、単独で最適化する価値はありません。
例
コールセンターのある日の例です(数値は架空です)。
- 1通話あたり平均300秒の通話時間
- 保留40秒
- 後処理80秒
AHTは300 + 40 + 80 = 420秒、つまり7分です。音声エージェントが同種の通話を、保留も後処理もなく通話時間240秒で解決するなら、AHTは4分です。この比較が意味を持つのは、エージェントに電話した人が同じ結果を得ている場合に限られます。